漫画「プラチナエンド」を読んだ瞬間…どこかに「デスノート」の匂いがしてきます。
漫画「プラチナエンド」とは、「デスノート」の大場つぐみ・小畑健が、月間漫画雑誌ジャンプSQ(スクエア)で連載中の作品です。
いやいや、全く違うお話なのは、分かっているつもりです。
でも何だろう?このモヤモヤ感…。
むしろ正反対な内容なのに、なぜ似てると感じるのだろう。
ということから「プラチナエンド」と「デスノート」を比較検証してみました。
「プラチナエンド」あらすじ
出典:http://natalie.mu/comic/news/
家族を事故によって亡くした主人公・架橋明日(かけはし みらい)は、虐待やいじめにより、生きる気力を失くしていた。
中学卒業の日にマンションの屋上から飛び降り自殺を図ったが、特級天使のナッセによって、不本意にも命を救われてしまう。
ナッセから、天使の翼と矢を授けられ『天使の力』を得ることになった明日(みらい)だが、「同様の力を与えられた人間は全部で13人いて“神候補”としてそれぞれ天使がついている。その中から一番ふさわしい神を選ぶ。」と告げられる。
神候補として明日(みらい)が歩んでいく先には何が巻き起こるのか――――…。
「天使ナッセ」と「死神リューク」
一般的には、
「天使」といえば、「純白」「善」のイメージ。
「死神」といえば、「暗黒」「悪」のイメージ。
付け加えるなら、外見的には
プラチナの天使“ナッセ”は「女性」
デスノートの死神“リューク”は「男性」
正反対ですし、真逆のイメージですが、どちらも人間世界とは別次元に住む存在。
言葉は悪いですが、共に死者を運ぶお仕事の分類として、天使は神のパシリ、死神も神のパシリ的なご職業かも。
その天使や死神がどちらも「人間に道具(矢・翼・ノート)を与えて行動を共にする」というストーリー展開は似てます。
リュークはライトを通して、人間観察をすることを愉しんでいましたが、ナッセはミライが幸せになることを願っています。
ナッセもリュークも、共に行動するのは同じでも、人間への「想い」が異なっているので、比較すると面白いですね。
「明日(ミライ)」と「月(ライト)」
プラチナエンドは、生きる事に希望を見出せない少年・架橋明日(かけはし みらい)が主人公で「普通の幸せ」を望んでいます。
一方、デスノートの主人公・夜神月(やがみ らいと)は、頭脳明晰、容姿端麗、あらゆる方面に完璧な才覚を持つカリスマ青年でした。
二人の対照的な主人公は、矢や翼、ノートなど道具の使い方でも対照的です。
デスノート・月(ライト)は、はじめから強い意志を持ち、自分の行動は正当だと信じてノートを使いますが、プラチナエンド・明日(ミライ)は、できれば使いたくないと思いながら、運命の渦に巻き込まれていきます。
似ても似つかない二人ですが、天使や死神から与えられた道具を手にしてから、心情の変化が始まります。
道具や人物は違えども、話の『軸』からみると、似ているのかもしれません。
「人の命を奪っていいのか?」という点から比較しても、面白そうですね。
大場つぐみ「頭脳戦」と小畑健「画力」
(「プラチナエンド」より)
「プラチナエンド」も「デスノート」も『頭脳戦』を繰り広げていきます。
原作者は、大場つぐみ先生。
デスノートでは、軸となる「DEATH NOTE」にルールがあり、ルールを頭脳で使いこなしていきました。
また、Lとの頭脳戦も要であり、Lを好きな方は多いですね。
プラチナエンドでも、軸となる「天使の翼」と「赤の矢・白の矢」には、ルールがあり、道具を頭脳で使いこなします。
組み合わせや増減が可能な「天使の道具」の頭脳戦への活躍度は高いです。
残念ながら、今のところ、Lに匹敵するほどの個性的なキャラクターがいないので、今後が楽しみですね。
(「デスノート」より)
【道具全般】
・神候補に選べる人間は、生きる希望を無くした者や生きる意味を見出せない者。
・天使は階級によって人間に渡せる道具が決まっている。
特級:翼・赤の矢・白の矢
一級:翼・赤の矢
二級:翼もしくは赤の矢のどちらか
・13羽の天使が選んだ13人の人間の中から神となる者を選ぶ期限は999日。
・天使は神候補に自分の矢や翼を使って、直積的な影響を与えてはならない。
・死んだ神候補の天使の道具は、他の神候補が貰う事ができる。
・死んだ神候補から得た天使の道具は、他の人間に渡すこともできる。
・神が決まる前に天使の道具を返還すると、返還した人間は死んでしまう。
・神が決まると、その他の神候補の天使の道具は没収される。
・神候補以外の人間には天使の道具は見えない。
【翼】
・天使の翼は、目には見えない速さで飛ぶことができる。
・翼は矢よりも早く飛ぶことができる。
・自力で持てる分の重量までは飛ぶ速さに影響しないが、人間は一人までしか運べない。
・天使の矢は百発百中で当てられるが、対象が見えていなければ当てる事はできない。
・翼でみえない速さで飛びながら矢を放つことはできない。
【白の矢】
・白の矢で刺された人間は必ず死ぬ
【赤の矢】
・赤の矢は同時に14人までの人間に刺すことができる。
・赤の矢は刺された人間を33日間だけ自身の事を好きにさせられるが、同じ人間には一度しか効果がない。
・赤の矢が刺さっている場合、他の赤の矢は刺さらない。
・刺されたものが死亡した場合、刺した赤の矢は持ち主に返還される。
・赤の矢を所持している人間に赤の矢を刺した場合、自信に赤の矢を刺すように命令することはできるが、後に刺した矢の効果が上回る。
・赤の矢を刺しても、足る理由や意思がなければ、させられないこともある。
(「プラチナエンド」より)
あわせて、複数の天使たちを描く小畑健先生の脅威的な画力の高さが注目されます。
「内容は面白いが、絵は嫌い」という漫画もある中、小畑健先生の描くキャラクターや背景などを好きな方は多いでしょう。
デスノートが社会化現象になった背景には、原作の面白さに加え、画力も影響していると言われています。
(「デスノート」より)
小畑健氏は絵を描くのが非常に速いことで有名で、自身が書いている連載漫画と並行して様々なイラストを描いている努力家な方です。
「プラチナエンド」が大場つぐみ・小畑健のコンビで連載されていることが、読者としては嬉しい限りですね。
「違う」のに「似てる」
ここまで比較してみましたが、もしかしたら…読者が考察することも視野に入れて「プラチナエンド」を世に出したのかも。
どこか「デスノート」と比較してしまう、異なる面白さが隠れている「プラチナエンド」。
その微妙な、さじ加減に中毒者が続出しているのかもしれません。
どっちが面白いではなく、どちらも面白いと言われる2作品。今後も「プラチナエンド」の連載を楽しみ続けたいと思います。
天使が出てくるので、女性も読みやすいです。